鋼は所定の温度に加熱すると、内部の“組織”が変化します。
純鉄は室温では”フェライト”と呼ばれる組織が、加熱され920℃付近に達すると”オーステナイト”という組織に変化します。
もちろん変わるのは名前だけでなく、鉄の仕組み・構造そのものが変化するのです。
この変化を変態と呼びます。
この変態の後、”冷却”の段階でもやはり”変態”が起こります。
水や油などで急激に冷やすと焼入れ、
空冷ファンなどでゆっくり冷やすと焼きならし、
炉内でさらにじっくりと冷ますと焼きなましなどになります。
この加熱と冷却を経ての組織の状態で、硬い、軟らかいなど性質がまったく異なります。
熱処理は、この“変態”をコントロールする技術なのです。
※フェライト:酸化鉄を主成分としたセラミックス総称
※オーステナイト:鋼の結晶構造が体心立方から加熱されて面心立方に変化したもの