焼き入れ(加熱し急速冷却)することで、鋼に焼きが入り、硬さを得ます。
しかし焼き入れ後の鋼は、非常に硬いですが、とても脆いのです。
例えば焼き入れたままの鋼は、そのまま放置しておくと衝撃や温度変化などでも割れを引き起こしたり(置き割れ)、徐々に寸法が変化していったりします(置き狂い)。
これは鋼の内部に“焼入れ(変態)”によって発生した“残留応力”が封印されているためで、時間の経過などによってそれらがさらに変化を起こてしまうのです。
このような不安定な状態を改善するために硬度を弱めて粘りを増加させる熱処理が“焼き戻し”です
通常、焼戻しは焼き入れと必ずセットで行われます。
焼戻し温度は、焼き入れ温度よりも低い温度で処理します。
処理温度は、高ければ高いほど硬さが低下する代わりに、内部の粘り強さ(靭性)が向上します。
処理方法としては
・表面の硬さ(耐摩擦、耐衝撃など)を重要視するのであれば低温焼戻し(150-250℃など)
・硬さより靭性(粘り強さ)を重要視するのであれば高温焼戻し(400-650℃など)
後者は特に調質と呼ばれたりもします。